『トウキョウソナタ』カンヌ受賞凱旋会見
“小泉今日子が「母性に目覚めた」、『トウキョウソナタ』堂々の凱旋会見”
日時:2008年6月4日(水)
会場:恵比寿ガーデンルーム
登壇者:黒沢清(監督)、香川照之、小泉今日子、小柳友、井之脇海
司会:みんしる

カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞を受賞した『トウキョウソナタ』が監督、主要キャストと共に帰国し、受賞凱旋上映の後、記者会見とカンヌでは出来なかった授賞式を行った。前作『LOFT ロフト』などホラー作品が多かった黒沢清監督だが「『ある視点部門』に賞があるとは知らなかったので、何かの間違いではないかと思った。ホラーに拘るつもりはない。幅広い作品に挑戦していきたい」と、喜びと今後の抱負を語った。また、女優として更なる飛躍を見せた小泉今日子は、「この作品で母性に目覚めた。カンヌでは“家族”でレッドカーペットを歩けて嬉しかった」と、母の表情で語った。
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賞状を手にした感想を聞かせてください。
■黒沢監督:「僕が代表として戴きましたが、全員にもらった賞だと思っています。カンヌは南仏なので、ヤシの木がたくさん生えています。パルムドールの“パルム”とは、ヤシという意味ですが、(賞状を指して)これはヤシの葉ですよね。これを見て、“あ、カンヌの賞なんだ”という実感が沸いてきました(笑)。もらってしまっていいのでしょうか?ありがとうございました」
改めて、一言づつ挨拶をお願い致します。
■黒沢監督:「『トウキョウソナタ』を東京でお見せするのは、今日が初めてです。カンヌとは違った緊張をしています。皆さん、どうお感じになったでしょうか?この映画が皆さんの心にどのように残っていくのか、気になっています。これがこの映画のスタートですので、皆さん、よろしくお願い致します」
■香川:「カンヌ映画祭から戻って、受賞の知らせを聞いて、未だカンヌにいるような気がしています。『トウキョウソナタ』という映画のおかげで、最高に幸せなカンヌを過ごせましたし、今も最高に幸せな瞬間を過ごしています。何度かカンヌに行きましたが、これほど拍手を受けたことはありませんでした。この映画を作った黒沢監督はじめ、皆さんに深く感謝をしています。」
■小泉:「この映画は、去年の秋に撮影をしていたのですが、撮影した時点で、すごい映画に関われたんだなということを感じて、とても興奮していました。映画は、出来上がってから皆さんに観て頂けるまで、すごく時間がかかるのですが、やっとここまで来ることが出来て、今とても幸せです」
■小柳:「僕はこの映画の撮影で、初めて体を震わされた経験が出来て、これだから皆役者にハマるんだな、本物の役者に一歩近づけたんじゃないかな、と思えた作品です。監督にもスタッフの方々にも感謝しています。今日はありがとうございました」
■井之脇:「この作品に出られて、監督や香川さん、小泉さんに出会えたことを本当に嬉しく思っています。まだ僕は演技経験が少ないのですが、この作品は俳優としての第一歩だと思っています。今後ともよろしくお願いします」
カンヌ国際映画祭「ある視点」部門、審査員賞を受賞した時は、皆さんは日本に帰られていたそうですが、受賞を知った時、どんな風に思われましたか?
■黒沢監督:「僕は、賞の対象になっていることを知らなかったので、何かの間違いなんじゃないかと思いました。でも、どうも本当らしいので、素直に驚き、嬉しかったですね。賞の対象になっていることを知っていたら、ヤキモキヤキモキしていたと思うですが、そうではなかったので、最後に隠されたプレゼントを渡されたような、とっても幸せな気分でした」
■香川:「僕は賞の対象になっていることを知っていたので、ヤキモキヤキモキしながら(笑)、メールをチェックし、電話を待っているような状態でしたが、たまたま忙しくて知ったのは、メールが送られてから6時間経っていた時でした。NHKの7時のニュースで流れることを聞いたので、放送を待っていたのですが、そのニュースを観た時に、鳥肌が立ってきて“うわ本当に受賞したんだ、NHKのニュースでやってる!”みたいに、人事のように嬉しくなって、そこから夢のような日々が今も続いている、浮かれポンチの状態です(笑)」
■小泉:「私も確かメールで知らされたんですが、身が引き締まる思いがしました。これから日本で公開されるんですから、映画のことをちゃんと伝えていかなくちゃ、という気持ちになりました」
■小柳:「僕は友達からのメールで“ニュース出てるね”と言われて知ったのですが、初めて僕の名前が新聞に出たので、カンヌに行って来たんだなという実感が沸いて来ました」
■井之脇:「僕は、朝、両親から受賞の知らせを聞いたのですが、その時はさらっと聞き流したのですが、後で1人になった時にどんな大きな賞であるかということを知って、“こんなすごい映画に出ちゃったんだ。僕でいいのかな”とちょっと不安になりました。でも、本当に嬉しかったです」
役作りで苦労されたことは?
■香川:「黒沢監督は、下準備を本当に念入りにやって下さる監督で、僕らは役作りと言ってもあまりやることはなくて、ダルマに目を入れるくらいに、本当に何もないのですが、黒沢監督の空気を楽しんで漂っているうちに終った感じです。監督は、撮影が短くて、最終日に、もう終わりかと。リテイクはないのかと(笑)。こんな幸せな空気だったら、いつまでもやっていたいし、いつか10時間くらいの映画を撮って欲しいと思っているくらい(笑)。役者にとって幸せな空間でした」
カンヌでも演技が絶賛されていたそうですが、今までとイメージがかなり変わったと思うのですが。
■小泉:「監督の現場は、魔法にでもかけられたようで、気がつくと思っているんです。香川さん、小柳さん、井之脇君だったから、すんなりと家族になれたということは、すごく思いました」
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『トウキョウソナタ』
公開:2008年9月
劇場: 恵比寿ガーデンシネマ他全国順次公開
配給:ピックス
公式HP: http://tokyosonata.com/
©2008 Fortissimo Films/「TOKYO SONATA」製作委員会
■あらすじ
東京の4人家族。リストラされたことを家族に話せない父。ドーナツを作っても食べてもらえない母。アメリカ軍に入隊を決めた兄。こっそりとピアノを習う弟。何となく幸せそうでない家族。しかし、思いがけない一夜を過ごした後、それぞれの不協和音がひとつの旋律へと変わっていく。
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人物紹介
■黒沢清(監督)
1955年兵庫県生まれ。立教大学在学中より8ミリ映画を撮り始め、『しがらみ学園』でぴあフィルムフェスティバルの入賞を果たす。代表作は、『CURE キュア』(97)、『蛇の道』(98)、『ニンゲン合格』(99)、『回路』(01)、『アカルイミライ』(03)、『LOFT ロフト』(06)他。
■香川照之
1965年12月7日東京都生まれ。89年NHK大河ドラマ「春日局」でデビュー。代表作は、『蛇の道』(98)、『鬼が来た!』(00)、『ゆれる』(06)他。
■小泉今日子
1966年神奈川県生まれ。16歳でアイドル歌手としてデビュー。映画デビューは、『十階のモスキート』(83)。代表作は、『空中庭園』(05)、『やじきた道中 てれすこ』(07)、『転々』(07)他。
■小柳友
1988年8月29日東京都生まれ。ドラマ「きたな(い)ヒーロー」でデビュー。代表作は、『タイヨウのうた』(06)、『ヒートアイランド』(07)、『クローズZERO』(07)、『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』(08)他。
■井之脇海
1995年11月24日生まれ。映画デビューは、『夕凪の街 桜の国』(07)。映画、ドラマ、CMと多方面で活躍中。
取材・文:南野望里子












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