『グローバル・メタル』サム・ダン監督&スコット・マクフェイデン監督 インタビュー
“ヘヴィ・メタルのグローバル化を探れ!”サム・ダン監督&スコット・マクフェイデン監督インタビュー
出席者:サム・ダン監督&スコット・マクフェイデン監督

“ヘヴィ・メタルは何故、嫌われるのか?”熱烈なメタル・ファンにして、人類学者であるカナダ人のサム・ダンが、この問題を学術的に紐解いたに『メタル ヘッドバンガーズ・ジャーニー』。
この作品の取材やプロモーションで世界中を回ったサムと共同監督のスコット・マクフェイデンは、メタルなど聴かれていないと思っていた国々にも、メタルが浸透し、さらにはその国ならではのシーンを形成していることを知る。
このメタルのグローバル化を追ったのが、メタル・ドキュメンタリー第2弾となる『グローバル・メタル』だ。
日本のメタル・シーンも登場する『グローバル・メタル』を引っ提げて、前作に引き続き来日を果たした、サム&スコットにお話を聞きました。
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前回はヘヴィ・メタルが嫌われる理由を追及していますが、今回のテーマは?
■スコット・マクフィエデン監督(以下、スコット):「簡単に言うと、メタルを通して見たグローバル化です」
世界各国のヘヴィ・メタル事情を垣間見て、何を感じましたか?
■サム・ダン監督(以下、サム):「メタルに対して、何かしらのエナジーやスピリットを持っていることは共通していました。何かを代弁する手段としてメタルを用いている国が多かったのですが、訴えるポイントは宗教だったり、反社会的なものだったり、国の環境によって違いました」
メタルが人々に悪影響を与えると考えられている国々でのメタルの位置付けは?
■スコット:「何かを代弁するツールとして存在しているから、カナダ、アメリカ、日本に比べて、メタルの必要性が高いですし、命がけでメタルを聴いています」
■サム:「メタルはとても個人的なものです。何かからの逃避ではなく、実際に直面している問題への抗議の声です。命がけな分、よりメタルに対して真剣なんです。特にイスラエルはそうですね」
そういう国々の現状を見て、ショックを受けましたか?
■スコット:「西洋の国々では、メタルは政治的な音楽ではありません。パンクロックの方が政治的でしょう。メタルに対して閉塞的な国々で、メタルが政治的、反体制的であることはある程度予想はしていたのですが、想像以上だったので驚きました。スレイヤーの様なバンドが、イランや中国でも聴かれていたことも驚きでした。これはネットの力ですね」
■サム:「中国が印象的でした。中国にメタルが存在したこと、そして、最も人気のあるバンドがメタル・バンド(タン・ダイナスティー)であることに驚きました。“個”が突出しているのをあまりよしとしない国だと思っていたのですが、中国のメタルは個性を尊重しています。それも驚きでした」
日本のメタル・シーンの印象は?
■スコット:「複雑ですね。西洋のメタルと、メタルの影響を受けて日本独自で生まれたヴィジュアル系と呼ばれるバンドが共存しています。その関係性を理解するのが大変でした。あと、他の国でメタルを聴く人たちは“アンチ○○”というのが多いですが、日本のファンはストレスの捌け口として聴いている人が多いように感じました。聴いている人たちも、あまり世の中に対して不満がないように見えます。とてもエンターテイメント性が高いのではないでしょうか」
■サム:「日本のメタルの起源がとても興味深かったですね。恐らくKISSから始まったのでしょう。意外と歴史が古かったので、驚きました。日本には伝統的な歌舞伎の文化があり、ヴィジュアルを重視する国だからこそ、KISSみたいなバンドが受け入れられたのだろうと思いました」
日本のパートで、ディープ・パープルの「ハイウェイ・スター」を熱唱&エア・ギターするおじさんたちが出てきます。これが日本のメタル・シーンだと、世界各国のメタル・ファンに認識されるのが、ちょっと怖いのですが……
■サム:「そう感じさせてしまったのは申し訳ないのですが、ラウドパークのメタル・ファンや、日本独特のヴィジュアル系バンドといった要素も入れています。いろんなシーンがあるという説明の一環です」
日本、中国、インド、イスラエルなどかなりの取材力ですね
■スコット:「言葉で苦労した国があったので、大変は大変でしたけど、たくさんの国を回れて、いろんな体験が出来ました。それよりも各国のメタル・シーンを正確に伝える方が大変でした」
これだけの取材量だと編集も大変だったのではないでしょうか?
■サム:「テープは350時間分に及びました。それを93分にしたんです。6、7ヶ月かけて編集したので、取材よりも編集が大変でした。各国のメタル・シーンだけでなく、文化も盛り込みました。そのバランス配分にはとても気を遣いましたね」
各国のファンやミュージシャンと触れ合って、感じたことは?
■サム:「大きな絆を感じました。国や文化はもう関係なく、メタル・ファンというだけで、同じものをシェアしているコミュニティーの一員なんです。この絆が素晴らしいという風に言うつもりはなかったのですが、結果的にそうなってしまいました」
グローバル化が進んだメタルが、なにか世界規模で地球に貢献できると思いますか?
■スコット:「可能性はあると思います。アイアン・メイデンのメンバーともその様な話をしました。西洋文化の流入は各国に悪影響を与えていると思います。ケンタッキーやマクドナルド、ハリウッド映画等が、その国独自の文化を潰しているという事実は否めないでしょう。でもメタルは、その国の伝統的な文化を奪わずに共存しているので、良い展開が出来るかもしれません」
アイアン・メイデンのインドでのライブシーンが印象的だったのですが、あの瞬間をインドのファンと共有した感想は?
■サム:「史上最高の瞬間でした。あのパートを見ると未だに僕も鳥肌が立ちます」
メタル・ファンに限らず、これから本作を見る方々に、鑑賞のポイントをお願い致します
■スコット:「前作では、ヘヴィ・メタルに対する偏見を崩すことが出来たと思います。本作ではメタルだけでなく、それぞれの国や文化に対するステレオタイプな考えを破壊出来たら良いですね。ニュースで見る以外にも、“こんなことがあるんだよ”というポジティブな面が伝えられればと思っています」
■サム:「グローバル化を研究している人たちは、悪い点ばかり指摘しますが、さっきスコットが言ったように、メタルはグローバル化しても、各国の文化を壊しません。グローバル化は決して悪いことばかりではないということを、一番感じて欲しいです」
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プロフィール
サム・ダン

本作では出演、脚本、監督、製作を務める。
イギリス生まれ、カナダ育ち。ヴィクトリア大学で人類学と歴史の学士号を取得し、ヨーク大学で社会人類学の修士号を取得。 根っからのメタル好きで、メタルが嫌われる理由を探るべくドキュメンタリー映画に『メタル ヘッドバンガーズ・ジャーニー』を手掛ける。各国で高い評価を得る。『グローバル・メタル』はサムにとって2作目の作品。
スコット・マクフェイデン

カナダ出身。ヴィクトリア大学で脚本を学んだ後、数々の映画やテレビ作品で音楽監修、サウンドトラックプロデューサーを務める。サム・ダンと共に『メタル ヘッドバンガーズ・ジャーニー』を手掛ける。元々メタル・ファンではなかったが、今ではすっかりメタル漬けになっている。
『グローバル・メタル』
配給:アミューズソフトエンタテインメント
公開: 2008年8月23日 (土)
劇場情報: アミューズCQN(レイト)ほかにて
公式HP: http://www.amuse-s-e.co.jp/globalmetal/
©2007 Global Banger Productions Inc.
取材・文:伊藤P












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