『コドモのコドモ』麻生久美子&萩生田宏治監督 インタビュー
“子供のころは、どんな子供だった?”
出席者:麻生久美子&萩生田宏治監督

小学5年生の女の子が妊娠!?という衝撃的な内容が話題となったさそうあきらの漫画を映画化した『コドモのコドモ』。
衝撃的なテーマではあるが、作品を見れば関わった全ての人たちが、本作に真摯な姿勢で取り組んでいることがわかる。小学生の妊娠から見えてくるのは、命の尊さ、身勝手な大人たち、そして、知らないうちに成長している子供たちの力強い姿。この難しい題材に挑んだのは、同じくさそうあきらの原作漫画の映画化『神童』を手掛けた萩生田宏治監督。そして、麻生久美子が理想に燃えるも空回りし、更には信じられない出来事に直面してしまう八木先生を演じ、『純喫茶磯辺』、『たみおのしあわせ』に続き、またもや難役に挑んでいる。
2人にとって難しいことだらけだったという『コドモのコドモ』について語って頂きました。
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本作に出演された理由は?
■麻生久美子(以下、麻生):「八木先生がとても魅力的でした。真っ直ぐで、不器用で、空回りするというあまりやったことのない役柄だったので、八木先生を演じることが出来れば、自分にとってプラスになるという予感がありました。あと、萩生田監督と一緒にお仕事がしたかったというのもあります」
■萩生田宏治監督(以下、萩生田監督):「恐縮です(笑)」
八木先生を演じるのは、難しかったですか?
■麻生:「凄く難しかったですね。現場で萩生田監督に何度も“難しいです”って漏らしていたぐらい、やりながらも難しさを感じていました。八木先生も教育の難しさを感じながら戦っていたのだと思います」
演じてみてプラスになった部分は?
■麻生:「まず萩生田監督とお仕事が出来た事がプラスですね。映画の中ではキッチリと(セリフを)話すのが当たり前だと思っていたのですが、実は日常の会話でキッチリと話すことはあまりないんです。萩生田監督は作り込まれた芝居よりも、生々しくてリアルな芝居を好まれるので、そのことに改めて気付かされました」
萩生田監督はなぜ麻生さんをキャスティングされたのでしょうか?
■萩生田監督:「麻生さんを見たのは『カンゾー先生』が最初だったのですが、衝撃的な印象を受けました。しなやかで正しい感じのする女優さんだと思いました。今回、映画化に際して、原作の漫画では描かれていた八木先生の日常をかなりカットしました。限られたシーンの中で、八木先生を表現するのは難しいだろうと思ったのですが、麻生さんなら大丈夫だと思いお願いしました」
萩生田監督は原作のどこに感銘を受けて、映画化しようと思ったのでしょうか?
■萩生田監督:「プロデューサーの根岸洋之さんに映画化出来るかどうかを聞かれて、それから初めて読みました。出産シーンにとても感動しました。子供たちだけで出産するというのは、有り得ない様で、有り得なくもない。これはチャレンジになると思い取り組んでみることにしました」
麻生さんは脚本を読まれて、どのような感想をお持ちになりましたか?
■麻生:「元々さそうあきらさんの原作を読んでいました。萩生田監督がおっしゃった様に、八木先生のパートが大分カットされていましたが、原作に忠実な脚本になっていると思いました」
子役のキャスティングはどうやって決めたのでしょうか?
■萩生田監督:「400人の子供たちに会いました。主人公の春菜役に甘利はるなを想定して、いろんな組み合わせでお芝居をさせてみました。子供とはいえ相手によって演技が変わってくるので、全体のバランスを見つつ決めていきました。“1人1人が集まったらどういう世界が出来上がるか?”を重視して選びました」
現場で、麻生さんは子役たちとどのように触れ合ったのでしょうか?
■麻生:「私から仲良くなろうと話しかけたことはなかったですね」
■萩生田監督:「確かにそうでしたね」
■麻生:「八木先生は、自分としては子供たちに近づいているつもりなのですが、とても距離がある先生だったので、積極的に私から話しかける必要はないと思いました。でも、子供たちの方から話しかけてくるので、自然と仲良くなりました。撮影後半には、撮影後に“ヤギセン、ホテルの部屋でゲームしよう!”って言われて、部屋で遊んでいました」
■萩生田監督:「そうなんですか?」
■麻生:「女の子たちに呼ばれて部屋に行って、ゲームをしていました。そして、ほとんど負けていました(笑)」
この映画に携わって子供に対する認識は変わりましたか?
■麻生:「それ程変わらなかったのですが、1人1人のパワーが凄いなって思いました。それが怖くもあり、勇気付けられもしました。先生として教壇に立つと、子供たちの視線が一気に来るのですが、これが意外と強烈で緊張しました。この感覚を味わえたのは貴重な経験になりました」
子供たちの姿が活き活きと描かれた作品ですが、お2人はどの様な子供だったのでしょうか?
■麻生:「私は性格悪かったですよ(笑)。意地悪というよりも自意識過剰だったので、大人から見れば嫌な子供だったと思います。割と優等生なところもあったので、今回の作品の登場人物だと、学級委員長の美香が一番近いと思います」
■萩生田監督:「僕は内気でしたね。今もそうですけど」
■麻生:「内気だったんですか?私と真逆じゃないですか。目立ちたがり屋で大変でした(笑)」
子供を産むと母親は輝きますが、麻生さんにとって理想の母親像とは?
■麻生:「理想の母親像は私の母です。とても明るい人で、しょっちゅうその場で歌を作って歌っていました。私も大きくなって歌を作って歌っていたので、やっぱり親子なんだなって(笑)。母の明るさに随分と助けられたので、大雑把でも良いから明るい母親でいたいと思っています」
麻生さんはこのところ様々な役柄を演じていますが、どのように演じ分けているのでしょうか?
■麻生:「『純喫茶磯辺』と『たみおのしあわせ』は、自分でもちょっと変わった役柄だと思いましたが、八木先生はまっとうな人だと思います。撮影の前に役のことを考える時間が割りとあるので、そこで作り上げつつ、現場でも引き続きアプローチしていきます。この役だからこうしようと決め付けたりはしないで、自然と役に入っていく感じです」
どれも難しい役ですが、あえて難しい役にトライしようという意気込みがあったのでしょうか?
■麻生:「昔は良い人なら良い人という様な役が多かったのですが、年齢的にも、タイミング的にもそうじゃない役を頂けるようになってきました。ちょっと前からですが、一筋縄ではいかない、グレーな感じの人柄を表現できたら面白いだろうなと思っていました。女優として、今までとは違う役を演じられたら、ステップアップになるだろうし、印象も変わるってくると思います。でも、グレーな役ばかりではダメだということも理解しています」
作品を選ぶポイントは?
■麻生:「全部が揃っていなくても良いのですが、監督、共演者、脚本、役柄ですね。何か予感がするんですよ。自分が出演するのはこの作品だって」
これからどんな役を演じたいですか?
■麻生:「グレーじゃない役をやりたいですね(笑)。あまりそういう役ばかりやっているとまたかと思われてしまうので」
萩生田監督は女優・麻生久美子のどこに魅力を感じますか?
■萩生田監督:「正しい選択をする女優さんだと思います。間違ったことが嫌いで、譲らないところもあるけど、決して頑固じゃないところが魅力ですね。そういった感情がぶつかり合う瞬間を見てみたいと思わせる女優さんです」
麻生さんは本作のどこに魅力を感じますか?
■麻生:「子供たちが魅力的です。自分が小さい頃に経験したような子供の世界が、ちゃんと描かれています。子供たちの団結力も気持ち良かったです」
出来上がった作品を見てのご感想は?
■麻生:「テーマがテーマなだけに感想を述べるのは難しいですね。自分のことで言えば、ラスト前の教室のシーンが、演じていて納得いかなったんです。でも出来上がった作品を見たら、信じられない様な出来事を綺麗な話としてまとめるだけのシーンになっていなかったので、良かったと思いました」
■萩生田監督:「繋いでみたら2時間半ぐらいになったのですが、客観的にどこをカットするのか判断がつかない様な状態でした。自分のやれる範囲を超えた感じでしたね。最後まで一杯一杯でした」
■麻生:「私も一杯一杯でした(笑)」
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プロフィール

麻生久美子
1978年千葉県出身。98年今村昌平監督の『カンゾー先生』のヒロインに抜擢されて、一躍注目を浴びる。以降、数々の映画に出演し、日本映画界に欠かせない女優となっている。2007年は『どろろ』、『夕凪の街 桜の国』、『怪談』などに出演した。『夕凪の街 桜の国』で第32回報知映画賞・最優秀主演女優賞を始め、数々の賞を受賞。2008年は本作の他、『ハーフェズ ペルシャの詩』、『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』、『Beauty』、『純喫茶磯辺』、『たみおのしあわせ』、『アキレスと亀』などがある。

萩生田宏治監督
1967年生まれ。高校時代より8ミリ映画を作り始める。大学在学中に山本政志、林海象、河瀬直美作品の助監督を務める。93年『君が元気でやっていてくれると嬉しい』で監督デビュー。98年に『楽園』、04年に『帰郷』、07年に『神童』を発表している。
『コドモのコドモ』
配給:ビターズ・エンド
劇場:シネ・アミューズ、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開
公開日:2008年9月27日(土)
公式HP:http://kodomonokodomo.jp/
小学5年生の春菜の担任は、東京からやって来た若い女の八木先生だ。性教育の授業に力を入れるべきだと考える八木は、同僚の反対を押し切って教室で妊娠の仕組みについて科学的に教えようとするが、春菜ははたと思い当たる。これって仲良しのヒロユキとした“くっつけっこ”のことじゃないのかと。やがてお腹が丸みを帯び始め、春菜は小さな命の芽生えを実感するが、大人たちは誰もそのことに気づかないのだった。
©2008.『コドモのコドモ』製作委員会












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