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2008年9月25日 (木)

『トウキョウソナタ』香川照之&小泉今日子 インタビュー

出席者:香川照之&小泉今日子

『トウキョウソナタ』香川照之&小泉今日子

ホラーを撮り続けてきた黒沢清監督が、初めて家族をテーマに取り組んだ意欲作『トウキョウソナタ』 。
リストラされたことを家族に告げられないまま、家庭では父の威厳を保とうとする父親。生活に疲れ、心が空洞化してしまっている母親。何を考えているのか判らない長男。先生や親に対して反発心を覚える次男。何も問題はなかったはずなのに、気が付いてみたらバラバラになった4人の家族。この家族の姿を通して、混沌として、閉塞感が漂う現代の東京、日本、そして世界を映し出す。
『蛇の道』(’98)以来、10年ぶりの黒沢作品出演となり、父親役を演じた香川照之さんと、女優として益々磨きのかかる母親役の小泉今日子さんにお話を伺いました。

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『トウキョウソナタ』香川照之&小泉今日子

黒沢清監督は演出する際に“意味はないんですけど”という枕詞をつけるそうですね

■香川照之(以下、香川):「10年前に『蛇の道』で黒沢清監督に演出して頂きましたが、“意味はないんですけど”を連発していました。でも、いちいち細かく指示されるよりも、“意味がない”って言われた方が、俳優は意味を考えるということに、黒沢監督に会って初めて気が付きました」

■小泉今日子(以下、小泉):「私も言葉で全部説明してくれる監督さんよりも、なぞなぞを出してくれるような監督さんの現場の方が楽しいですね」





K01今回も黒沢監督は“意味はないんですけど”とおっしゃっていたのでしょうか?

■香川:「こちらも準備して臨んだというのもあってか、前ほどはなかったです。唯一、津田寛治君演じる黒須と初めて出会うシーンで、“こちらに移動できますか?まぁ、意味はないんですけど”と言われました。でも、僕を移動させて、奥にいるホームレスの人たちを画面に収めたいんだなって、意味を察しました。それを受けて、この移動中にどういう行動を取れば良いのかを考える俳優としての面白さがあるんです。この黒沢監督の俳優に考えさせる演出方法は、10年経ってもエキサイティングですね。“キタッ!”って思います」





『トウキョウソナタ』香川照之&小泉今日子役作りに際して、黒沢監督とはどのような話をされたのでしょうか?

■香川:「黒沢監督は感情について話すことをあまり好みません。感情を表現するのが仕事なのですが、誰も感情の表現の仕方について口にしなかったですね。しかし、ホラーを撮ってきた監督が、初めて家族映画を撮る。内容もどうやら淡々としているようだ。では、我々が淡々と演じているのをドラマチックに撮るのか?それとも感情が溢れそうになるのを必死に抑えている人たちを、監督が淡々と撮るのか?どちらですか?ということだけ黒沢監督に聞きました。そうしたら黒沢監督は間違いなく後者ですとおっしゃいました。これが僕には意外だったんです。淡々と演じているのを監督が撮ると思っていたので、これはちゃんと真剣に向き合わないとダメだなと思いました」おそらく黒沢監督が感情について話さないのは、話さないことで失われる何かを最小限にしようとされているのではないかと思いました」

■小泉:「小さな家族の話ですが、その家族は東京であり、日本であり、世界である。そこに行き着きたい。この問題意識を抱いて、現場に臨んで欲しいと初めて家族4人が顔を合わせた時に黒沢監督がおっしゃっていました。それがとても印象に残っていますし、おかげで役が掴み易くなりました」





『トウキョウソナタ』香川照之&小泉今日子女性に見てもらいたいポイントは?

■香川:「家庭で男を大事にして欲しいですね(笑)引っ張り切れるかどうかは判りませんが、男が引っ張った家庭の方が幸せだぞって。お父さんが頑張っているんだってことを伝えたいですね。今、女性が働くことは当たり前ですから、男なんて要らないという発想が出てきても不思議ではないですし、現代の日本はそれを受け入れています。でも、この作品では旧時代的なスタイル、日本が持っていた良き質のものを描いています。お父さんが箸を付けるまで、お母さんと子供たちが料理に手を出さないというシーンがあります。何故待たなくちゃいけないのかということを、お母さんが子供たちにきちんと説明しているはずなんです。お母さんの協力がないと成立しないですし、そうすることが女性として一枚上手なんだということを、認識して頂きたいですね」

■小泉:「この作品を見て、東京や日本が抱えている問題が、世界ではどう見られているのかを意識しながら、生きていかなくてはと思いました。女性にもその辺りを感じて貰えれば良いなと思います。そうすると、男性にも優しくなれるし、社会に出ている男の人の大変さも判るのではないでしょうか?でも男性にも強くなって欲しいですよね。男らしい男性が減ってしまったようにも思います」





『トウキョウソナタ』香川照之&小泉今日子家族を演じるに際して、家族間での会話は?

■香川:「俳優はまず共演者と話し合うべきかどうかを、自分の嗅覚で調べます。今回に関しては、話すべきことがないと感じました。それぐらい良いキャスティングだと思いました。結婚して20年ぐらいの設定だったのですが、ちゃんと結婚して20年後の、ちょっと退廃した雰囲気の夫婦から始めることが出来ました。子供たちも同じです。僕とお母さんとの間の子供だなって感じがしましたし、彼等もそれを受けて返してくれました」

■小泉:「黒沢監督の魔法としか言いようがないのですが、衣装を着て、メイクをして現場に入ったら、自然と夫婦になり、家族なれました」





撮影に入る前のお互いの印象と、入った後の印象に違いはありますか?

■香川:「スーパーアイドルとして活躍されていた頃、僕は学生だったのですが、ファンとしてドーナッツ盤を買っていました。そういう方と共演したら、かつてアイドルで、ファンだったなって思うはずなのですが、小泉さんは実に不思議なんです。アイドルとしてのイメージと、本作で演じたちょっと疲れたお母さんのイメージが掛け離れているんです。今回の方が本当の姿だろうって思うほど、『トウキョウソナタ』でのイメージが強烈だったので、今年のサマーソニックで小泉さんが歌っているのを見て、“お母さん、ミニなんか履いて、何やってんの!”って(笑)。それぐらい本作の前と後では、小泉さんのイメージは違いますね」

■小泉:「香川さんが出演されている作品をたくさん見ていたので、気になっていましたし、共演してみたいと思っていました。それで今回共演してみて、何故そう思っていたのかの答が見えた感じがしました。演技に嘘がなくて、痛みや幸せが伝わってきます。そういう方と共演していると安心します」

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『トウキョウソナタ』 
配給:ピックス
公開:2008年9月27日
劇場:恵比寿ガーデンシネマ、シネカノン有楽町ほか全国にて
公式HP:http://tokyosonata.com//

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