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2008年10月20日 (月)

『レッドクリフ PartI』トニー・レオン インタビュー

“トニー・レオンがもっとも嫌いなこととは?”

出席者:トニー・レオン

『レッドクリフ PartI』トニー・レオン インタビュー

巨匠ジョン・ウーが製作費100億円を投じて「三国志」を映画化した『レッドクリフ』。構想18年というジョン・ウー監督念願の企画を支えたのは、俳優トニー・レオン。兵士5万人の劉備と孫権の連合軍を指揮し、80万人の兵を擁する曹操軍に立ち向かう司令官・周瑜を演じている。

いまやアジアを代表する世界的な俳優となったトニー・レオンにお話を伺いました。

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今回はどのような役作りをしたのでしょうか?

■トニー・レオン(以下、トニー):「中国には歴史としての『三国史』と小説の『三国志』があるのですが、ジョン・ウー監督は『三国史』を、つまり史実を基にして撮りたいとおっしゃっていました。ですから周瑜が歴史上どのような人物だったのかを知るために、『三国史』の資料を読みました。ただ、資料自体も少なかったうえ、役作りの時間もあまりなく、撮影しながら役作りをしました。ウォン・カーウァイ監督の作品に出演する時のアプローチに似ていると思います」


現場での役作りというのは?

『レッドクリフ PartI』トニー・レオン インタビュー■トニー:「金城武さんはいろんなアイディアを持っていて、常に監督と意見交換していましたが、僕は一言も自分の意見を言いませんでした。監督の意見を静かに取り入れてしまうのです。どちらかと言えば、僕が演じる周瑜に集中していました。時間がなかったので、より集中する必要もありました」


今回に限らず、いつもそのような役作りをするのですか?

■トニー:「このやり方はテレビドラマに出ていた頃から始まった方法です。デビューした頃は役が小さいので、監督に口答えできません。そんなことしたら怒られてしまいます(笑)でも、俳優だったら誰だって自分なりの考えを持っています。だからこっそりと自分の考えを役作りに取り入れて、静かな革命を起こすようになりました。その習慣が今も残っているのです。でも映画は監督のものです。監督の創作の方向性に反することはしたくないので、沿った形で役者としてプラスになることをしたいと常に思っています」


準備期間が短い中でアクションをどうこなしたのでしょうか?

■トニー:「幸いアクションの基礎はあるので、それ程問題はなかったのですが、撮影が始まった頃は体調が優れなくて、前半は芝居中心の撮影にしてもらいました。徐々に体調を整えて、後半にアクションシーンの撮影をしました」


金城武さん演じる諸葛孔明と周瑜の違いについてお聞かせ下さい

■トニー:「現場では金城武さんと役作りについて話はしませんでしたが、自分なりに考えました。周瑜は責任感が強く、モラルがあります。国、部下や妻といった周りの人のことを第一に考えます。背負っているものが多い人物です。一方の諸葛孔明は、単に劉備の軍師であり、周瑜ほど背負うものがありません。世の中の情勢をこだわりなく自由自在に分析します。そして、お洒落で、ユーモアがあって、自分の仕事を楽しんでいます。これが私の考えた二人の大きな違いで、ここを意識しながら演じました。因みにジョン・ウー監督の理想像は諸葛孔明だと思います。でも実際に周瑜の様にたくさん背負い込んでいました。いつも現場でスタッフやキャスト、投資家、最終的にはお客さんのことを気にしていましたからね」


トニーさん自身は周瑜、それとも諸葛孔明?

■トニー:「僕もジョン・ウー監督と同じです。周瑜を演じるわけですから、周瑜に成り切りました。そうしたら背負っているものが多過ぎて、しんどく感じました。だから諸葛孔明に成りたかったです。でももしも選ぶことが出来るのなら、目的を達成するためには手段を選ばない曹操が良いですね」


ジョン・ウー監督との久しぶりのコラボレーションはいかがでしたか?

■トニー:「この映画のテーマである“団結する”という精神を、現場に入って実感しました。撮影前、ジョン・ウー監督に“なんでこんな大変な作品を撮るのですか?本当に完成するのですか?”という質問をしました。ところが現場で彼の姿を見たら、どんなに困難な局面に直面していても、とにかく楽天的でした。僕は悲観的な人間なので、今回の現場で監督の前向きな姿勢にとても影響を受けました」


トニーさんは現場で常に笑顔だったそうですが、過酷な状況下で笑顔を絶やさない理由は?

『レッドクリフ PartI』トニー・レオン インタビュー■トニー:「現場は確かに大変ですが、プレッシャーを感じないようにして、いつも明るく楽しんで臨めば、他の人にもそれが伝わって、現場の雰囲気が良くなると思いました。しかも今回は主役ですから、みんなの手本になるように努めました。撮影現場は本当に過酷ですから、お互いに助け合って、励まし合うことが必要です」


『レッドクリフ PartI』にはたくさんの英雄が登場しますが、トニーさんが考える英雄像とは?

■トニー:「理想とする英雄像は、愛情を持って人々と接することの出来る人だと思います」


本作はハリウッドの資本が入っていますが、アジア映画の変化と今後について思うところはありますか?

■トニー:「今後、アジア映画にとって市場獲得が大切です。ここ数十年の間、ハリウッド映画がアジア市場で大きな割合を占めていました。アジア映画が市場を獲得するためには資金が必要ですから、ハリウッドと協力して市場を拡大しいくことは重要だと思います」


日本映画への出演は?注目している監督はいますか?

■トニー:「最近あまり日本映画を見られていないので、どのような若手監督がいるのかちょっと判りませんが、以前は岩井俊二監督の作品をよく見ていました。黒沢清監督の作品も見ましたが、とても将来性を感じる監督だと思いました。いつの日か、一緒にお仕事が出来たら良いなと思います」


周瑜と諸葛孔明は良きライバルでもありますが、トニーさん自身にライバルはいますか?

■トニー:「演技には共演者という相手が必要です。お互いに助け合い、刺激しあってこそ、演技は磨かれるものなので、ライバルを意識したことはないです」


長いキャリアですが、俳優として心の変化はありましたか?

■トニー:「大きな変化があったと思います。20年間の俳優人生で、たくさんの素晴らしい映画人と出会うことが出来ました。彼らから影響を受け、啓発されてきました。そして、反省もしました。大きな変化は直ぐにではなく、段階的に現れてきました。例えば、ホウ・シャウシェン監督、ウォン・カーウァイ監督、最近だとアン・リー監督との出会いは、僕を大きく変えたと思います」


活動の原動力は?

■トニー:「映画に対するパッションです。ラッキーなことに僕は素晴らしい映画人と出会うことが出来ました。彼らによって、僕は益々映画に憧れ、新鮮な気持ちで接するようになりました。ある映画に出演して、“よしトップを取った!”と思ったら、違う監督が“こっちに別の高みがあるよ”という感じで、更なる目標を僕に与えてくれるのです」


今まで演じられた役柄で、自分に一番近かった役は?

■トニー:「自分で演じている以上、どの役も自分が反映されているので、選ぶのは難しいです。どの役柄もそのキャラクターと自分との混合体だと思ってください。時々、撮影が終わった後も、自分と演じた役の区別がつかなくなって混乱することがあります。これは多くの役者が抱える問題なのかもしれません」


周瑜からはもう抜け出せましたか?

■トニー:「役者としては撮影が終わったら早く役から離れたい、作品の話をしたくない、クルーにも会いたくない、映画も見たくないんです。ところが、このようにインタビューでまた作品の話をすることによって役を思い出してしまうので、自分自身でも離れているのか離れていないのかわかりません(笑)去年のヴェネチアでの取材で、“一番嫌いなことは何か?”と聞かれたのですが、“インタビューです”と答えました。自分が混乱しているだけの話だと思うのですが、『ラスト、コーション』のプロモーションをする時に、ポマードを塗って、60年代の衣装を身に着けて歩いたら、頭の中に『花様年華』のメロディが流れたんです。こうなったらもう自分でも訳がわからなくなります(笑)。だからインタビューが嫌いなんです。そういった意味では自分の演じた役から永遠に逃れられないのだと思います。次の役に逃げ込むだけです。そして、何かの拍子にまた現れてくるのです。ちょっとした出来事、音楽、天気といった些細なことでも、昔の役がポンと出てきてしまいます」


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『レッドクリフ PartI』
配給:東宝東和、エイベックス・エンタテインメント
公開:2008年11月1日
劇場:日劇1ほか全国にて
公式HP:http://redcliff.jp/

©Bai Xiaoyan

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