『チェンジリング』アンジェリーナ・ジョリー来日記者会見
『チェンリング』主演のアンジー、ブラピとのオスカーWノミネートで満面の笑み!
日時:1月30日(金)
場所:六本木アカデミーヒルズ49 タワーホール
出席者:アンジェリーナ・ジョリー

ある日突然消えてしまった息子を取り戻そうと、たった1人で権力に立ち向かい、忍耐強く闘い続けた女性の真実の物語を巨匠クリント・イーストウッドが映画化し、第81回アカデミー賞に主演女優賞、美術賞、撮影賞の3部門でノミネートされた『チェンジリング』。実在したヒロインを見事に演じたアンジェリーナ・ジョリーが来日し都内で記者会見を開いた。実生活では6人の子どもをパートナーのブラッド・ピットと育てる母親であり、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の親善大使としても活躍するアンジーが、ここ最近の公私にわたる充実した日々からイーストウッド監督との仕事、果ては日本の“拉致問題”に至るまで縦横無尽に語ってくれた。
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3年2ヶ月ぶりとなる来日ですが、久々の日本はいかがですか?
■アンジェリーナ・ジョリー(以下:アンジェリーナ):「楽しんでるわ。子どもたちをキディランドや公園に連れて行ったりね。私が仕事をしている今は、パパが子どもたちの面倒を見ているわ」
ブラッド・ピットさん共々アカデミー賞にノミネートされ、おめでとうございます。今回は母と子の絆を描く作品でのノミネートということで感慨深いものがあるのではないかと思いますが、今のこの素晴らしい状況をどう感じていますか? またお子さんたちとはどのように喜びを分かち合っていますか?
■アンジェリーナ:「確かに私たちにとって素晴らしい一年だったわ。健康な双子も産まれたし、とても良い映画に出演することもできた。私たちは映画が大好き。成功するものもしないものもあるけれど、いずれにせよ映画が大好きなの。いつも時間をかけてハートを込めて映画づくりに臨んでいるわ。だから、今回のように2人揃ってノミネートされたことは本当に嬉しいことなの。でも、子どもたちにはあまり映画の話はしていないのよ。子どもたちは『カンフー・パンダ』のことしか知らないわ(笑)」
子どもを思う母の強い気持ちが描かれた映画ですが、実生活でお子さんたちと接して一番幸せを感じるのはどんな時ですか?
■アンジェリーナ:「幸せな瞬間は毎日あるわ。子どもがそこにいるだけで幸せなの。たとえば、仕事から帰ったときや、朝起きたときに子どもの顔を見ると幸せを感じるわ。特に今は時差ボケで異常に早く目が覚めてしまうから、朝早くから子どもたちと一緒に遊んでいるのよ。本当に私は恵まれていると思う。もし、すべてを失ったとしても、子どもたちさえ健康で無事であれば幸せだと思うわ」
今回は実話の映画化ですが、撮影に入る前に準備されたことはありますか?
■アンジェリーナ:「聴聞会や裁判の記録、当時の新聞など残っている資料を色々と読んだわ。実は、私が演じたクリスティン・コリンズという女性は、私の亡くなった母にとてもよく似ているの。話し方もソフトで声も小さくて、ほとんど怒鳴ったりはしないやさしい人だったんだけれど、子どもを守ることにかけてはとても強い人だった。この映画を観たブラッドも、私の母に似ているって言ってくれたわ。撮影中はいつも母の写真をバッグに入れていたのよ」
クリント・イーストウッド監督は1stテイクでOKの速撮りで知られていますが、アンジェリーナさんがとくに感銘を受けた演出のエピソードなどはありますか?
■アンジェリーナ:「クリントのことは大好きよ。本当に偉大な監督だと思う。優雅にやさしく接してくれるし、クルーをとことん尊重してくれるの。クリントのためならいつだって何だってしてあげたくなるわ。そういう気持ちにさせる偉大なリーダーなのよ。みんなにインスピレーションを与えてくれるの。最初は1テイクですぐ次に進むという方法にショックを受けたけれど(笑)、でも、だからこそ一つ一つがとても大切で、誰も怠けるわけにはいかなかったわ。しっかりと宿題をこなし準備を怠らなかった。特にこの映画はエモーショナルな部分が多かったから、何度もやらされるよりは、ある意味やりやすかったわね」
特に印象的だったことは?
■アンジェリーナ:「クリントは監督として常に即決の人だったわ。すぐに判断を下してくれるの。私が知っている監督たちのほとんどは、プロデューサーや脚本家に相談したり、検討する時間が必要だったりするのに。私がちょっと話したいことがあると言ったときも、その場で話を聞いてくれて、すぐに答えを出してくれたの。しかもそれを笑顔でやってくれるんだから素晴らしいわ」
アンジェリーナさんの衣装も印象的でしたが、着こなしのポイントは? また、ローラースケートのシーンは辛くなかったですか?
■アンジェリーナ:「20年代のファッションはとてもエレガントなの。帽子を深く被っているのもクリスティンのシャイな感じを出すのに役立ったわ。ローラースケートはね、大変だったわよ(笑)。あれはメタル製でブレーキがないの。5センチのハイヒールを履いて装着していたから尚更ね。しかもクリントが時々背中を押したりするのよ(笑)。でも、楽しかったわ。子どもたちにもローラースケートを履かせて家で練習したのよ。さすがにローラースケートのシーンは1テイクではできなくて、何度かNGを出したわ(笑)」
クリスティン役にはアンジェリーナさんのキャリアや人生がすべて詰め込まれているように思えました。母親としての愛情やUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の親善大使として世の中のおかしな事に憤っている姿勢を感じました。母親として、あるいは社会問題に関心のある1人の人間としての視点からどう演じたのか聞かせてください。
■アンジェリーナ:「最初に脚本を読んだ段階ではこの役を引き受けるつもりはなかったの。もし、自分の子どもに同じことが起こったらと考えると耐えられなかったから。けれど、ずっと心には残っていたわ。この物語は子どもへの愛情や喪失がどういうものなのかを描くと同時に、正義を貫く女性の姿を追っているの。クリスティンはシステムすら変えてしまう非常にユニークな女性だと思う。
女性が非力だと思われていたあの時代に、あれほど腐敗していた制度を変え、他の女性を救うことにもなったのよ。彼女は私にとってヒーローになった。彼女のような女性が私にインスピレーションを与えてくれるの。私がUNHCRの活動をしているのも、彼女のように迫害や暴力と闘っている女性に会うためでもあるのよ。実は、北朝鮮による拉致被害者のことを日本に来て知ったんだけれど、子どもを失う苦しみは母親として共感できるし、ぜひお会いしてお話を聞いてみたいわ」
そういうアンジェリーナさんだからこそ、イーストウッド監督がクリスティン役に選んだんじゃないですか?
■アンジェリーナ:「それはわからないわ(笑)。ただ、私にとってクリントと仕事をするのはとてもエキサイティングなことなの。いつもはどんな監督とでも冷静でいられるんだけれど、彼は特別ね。小さな女の子のようにはしゃいじゃったわ(笑)」
色々考えさせられる映画ですが、観客にはどんなことを感じてほしいですか?
■アンジェリーナ:「受け取り方は観る人によって違うと思うけど、観てくれた女性の多くが、家に帰って子どもを抱きしめたくなったと言ってくれたの。無力な1人の女性の行動が勇気を与えてくれる映画だと私は思う」
クリスティンは子どもは必ず帰ってくると信じて行動する女性ですが、アンジェリーナさんにとって信じて疑わないものとは何ですか?
■アンジェリーナ:「私は自分を正義感が強いと思っているの。正しいと思うこと、正義だと思えることには信念をもって闘うわ。国際問題でも、子どもの問題でも、何が根底にあり、何が正義かを常に考えて闘っているつもりよ。UNHCRの親善大使を8年続けてきたのもその一貫なの。迫害されている人々のための仕事は信念を持ってやっているわ。長くリーダーをつとめてきた日本人の緒方貞子さんも私にとってはヒーローの1人ね」」
クリスティンに支援の手をさしのべるグスタヴ・ブリーグレブ牧師役のジョン・マルコヴィッチさんとの共演について聞かせてください。
■アンジェリーナ:「ジョンは才能溢れる素晴らしい俳優で、とても知的なの。彼のセリフにとても長いスピーチがあったんだけれど、クリントは長いセリフが嫌いなのね。だから、きっとカットされるに違いないって誰もが思っていたの(笑)。でも、実際は全部残すことになったわ。クリントはジョンのことを、蛇のようだと言ったのよ。まるで催眠術師のように私たちを虜にして、誰も途中でカットすることなんてできなかった。そのシーンはちゃんと映画の中に残っているわ」
子役たちの演技も素晴らしかったですが、現場ではどうのように過ごされたんですか?
■アンジェリーナ:「子役たちはみんな素晴らしかったわ。トレイラーでは私の長男のマドックスとプレイステーションで遊んだりしていたわね(笑)。劇中の本当の息子ウォルターを演じた子はとても愛らしい子で、もう1人の子はちょっと年上でとても聡明だった。実は彼とのシーンはとても大変だったの。お風呂から引っ張り出したり、壁にぶつけたり、怒鳴ったり。彼にあまり刺激を与えてはいけないと思ったから、撮影では彼を一旦セットから出して、私は何も無いところでお皿を投げたり、怒鳴ったりして、彼が怖がらないように心がけたの」
今回演じた上で最も苦労した点は? また気を遣った点は?
■アンジェリーナ:「一番苦労したのは、クリスティンが最初と最後では別人のように成長していることね。その間、彼女は精神的に強くなったり、弱くなったりを繰り返すの。強さを身につける度に立ち直れないくらい挫折して、でも、またさらに強くなるのよ。その波を上手く表現するのが大変だったわ」
確かな演技力と美しさを兼ね備え、さらに、母であり、正義の味方でもあるアンジー。彼女がごく普通の女性だったクリスティン・コリンズをヒーローと崇めるように、『チェンジリング』を観れば、きっと誰もが『トゥームレイダー』とは違った意味でのヒーロー像をアンジーに見出すこと請け合いです。
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『チェンジリング』
配給:東宝東和
公開:2009年2月20日(金)
劇場:日劇3ほか全国ロードショー
公式HP:http://changeling.jp
あらすじ:
1928年のロサンゼルス。電話会社に勤めるクリスティン・コリンズの9歳になる息子ウォルターが突然姿を消す。5ヶ月後、イリノイ州で発見されたウォルターを警察がクリスティンの下へ連れて来る。ところが、その少年は全くの別人だった。本物のウォルターを探してほしいと訴えるクリスティンを警察は相手にせず、せっかく再会した息子を認めないのは彼女が精神を病んでいるからだと主張するのだった。
プロフィール:
■アンジェリーナ・ジョリー:
1975年6月4日、米国カリフォルニア州生まれ。98年のTV映画「ジーア/悲劇のスーパーモデル」で注目され、ゴールデン・グローブ賞、サテライト賞、SAG賞などを受賞。翌99年には『17歳のカルテ』でアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞の助演女優賞を手にしている。主な出演作に『狂っちゃいないぜ』『トゥームレイダー』『すべては愛のために』『アレキサンダー』『Mr.& Mrs.スミス』『グッド・シェパード』『マイティ・ハート/愛と絆』『ウォンテッド』などがある。また、01年に国連難民高等弁務官事務所の親善大使に任命され、社会活動家としての顔も持つ。
取材・文:齊田安起子














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